先に言っておきます。「予防」は控除の対象になりません
シロアリ駆除の費用が確定申告で控除できる、という話は本当です。 ただし対象になるのは「駆除」と「被害箇所の修繕」だけで、 予防のための費用は対象外です。しかも「駆除とあわせて行う予防」も対象になりません。 ここを取り違えると申告で困るので、先に押さえてください。
1. 対象になるもの・ならないもの
国税庁の質疑応答事例「シロアリの駆除費用」は、次のように書いています。 シロアリによる被害は所得税法施行令第9条《災害の範囲》に規定する 「害虫……その他の生物による異常な災害」に該当し、 修繕に要した費用およびシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象になる。 一方で、被害を事前に防止するための費用および駆除とともに行う予防のための費用は、 応急的措置に係る費用でないことから、雑損控除の対象とならない——という整理です。
根拠条文は所得税法第2条第1項第27号・第72条、同施行令第9条・第206条第1項第3号、 所得税基本通達70-11。70-11は対象を「切迫している被害の発生を防止するための応急措置に係る費用のように、 その費用の支出の効果がその災害による被害の発生を防止することのみに寄与するもの」と限定しています。 予防が外れるのはこの限定によります。
実務で大事なこと:見積書で内訳を分けてもらう
駆除と予防をまとめて「シロアリ防除工事 一式」と書かれた請求書では、 どこまでが対象か説明できません。 駆除と予防を同時に依頼するときは、契約前に 「駆除費と予防費を分けて記載してください」と伝えておいてください。 あとから分けてもらうより確実です。
2. いくら戻るのか(控除額の計算)
雑損控除は所得控除です。支払った金額がそのまま戻ってくるわけではなく、 課税対象になる所得が減ることで、結果として税額が下がるしくみです。 控除額は次の2つのうち多いほうの金額になります。
その年の所得から控除しきれない場合は、翌年以後3年間にわたって繰り越せます。
3. 申告に必要なもの
領収書は必ず保存してください。これが無いと控除を受けられません。
4. 災害減免法という制度もありますが
災害減免法にも「害虫などの生物による異常な災害」という同じ災害の定義があり、理屈のうえでは シロアリ被害も対象になりえます。ただし適用には 住宅・家財の損害額が時価の2分の1以上であること、 その年の所得金額の合計が1,000万円以下であることが必要です。
シロアリ被害で「家の時価の半分以上」という水準に達するケースはまれなので、 実務上は雑損控除を使うことがほとんどと考えられます。 なお両者はいずれか有利なほうを選ぶ選択適用で、両方は使えません。
税制の数字は毎年変わります
たとえば災害減免法の「生計を一にする親族」の所得要件は、 令和7年分から総所得金額等58万円以下に変わりました(令和2年分〜令和6年分は48万円以下)。 古い解説記事には旧い金額が残っていることがあります。 申告の前に、必ず国税庁のページで最新の要件を確認してください。
5. 火災保険では、どうか
シロアリ被害が火災保険の補償対象になるかどうかは、契約している約款によって異なります。 当サイトでは可否を断定しません。保険証券と約款を手元に置いて、 加入先の保険会社・代理店に直接確認してください。
「保険を使えば実質無料になる」といった説明で契約を勧める業者には注意してください。 保険金の請求は契約者本人が行うものです。
個別の判断は税務署へ
このページは、2026年7月時点の国税庁の公表資料にもとづく一般的な説明です。 国税庁の質疑応答事例にも「個別事案の事実関係が異なる場合には、異なる課税関係が生じることがある」 という注記があります。あなたの場合にどうなるかは、所轄の税務署または税理士にご確認ください。 当サイトは個別の税務相談には応じられません。
出典: 国税庁 質疑応答事例「シロアリの駆除費用」/ 国税庁 タックスアンサー No.1110「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」/ 同 No.1902「災害減免法による所得税の軽減免除」
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